亀(トルトゥーガ)からキリン(ヒラファ)になった私:食品加工技術の習得を通したパラグアイ農村女性のエンパワーメント

食品加工技術の習得を通したパラグアイ農村女性のエンパワーメント

横浜国立大学都市科学部長・教授 藤掛洋子

南米パラグアイ共和国においてJICA 草の根技術協力:農村女性の生活改善プロジェクトを農村部5カ所で行っています(期間:2016年9 月~2021 年12月)。私は、このプロジェクトのプロジェクトマネージャーとして年に2 回~3 回パラグアイに渡航し、他の専門家とも連携し、加工食品の指導他を農村女性に対して行うとともに、国内外の専門家とともに生活改善プロジェクトを通した女性のエンパワーメントのためのカリキュラムを展開しています。

参加女性の中には絶対的貧困ライン以下の生活を営んでいる農村女性やシングルマザーもいます。農村での日常生活においては先住民族の言語グアラニー語を使用するため、公式の場でスペイン語を話すことを恥ずかしがる農村女性もプロジェクト開始当初は多くいました。2016年9月の初めての講習会で発表を求められた際、泣き出してしまう女性もいました。しかし、1年間の講習会と日本での研修を経て、「これまでは亀のように頭を隠していたけれども、私はもうキリンのように首を高く上げて世の中のことを見ることができるようになった」と力強く語ってくれた村の女性がいます。

写真は2018年3月に実施したパラグアイにおける帰国報告会です。
この女性は、与えられた発表時間を超えて、注意されても、「マイクを話したくない、もっと人前で自分の経験を話したい」と気持ちを表明しました。
このような女性たちを皮切りに、2021年8月現在、多くの女性が組織化し、起業し、地域にある資源を生かし、主体的に地域づくりを行うとともに変革を起こしています。
この女性は農村女性のエンパワーメントに貢献できるプロジェクトの応援どうぞ宜しくお願いいたします。

 

引用文献: 藤掛洋子(2019)「エンパワーした(亀からキリン)になった女性たちが対峙する複層的課題~パラグアイ農村女性の生活改善プロジェクトを事例として~」、国際開発学会・人間の安全保障学会2019共催大会『女性』(2019年11月17日 於:東京大学 要旨集:1-11〔公式更新 2019年12月15日〕)。

藤掛洋子(2018)「亀(トルトゥーガ)からキリン(ヒラファ)になった私:食品加工技術の習得を通したパラグアイ農村女性のエンパワーメント」、『神奈川ぱるとも会・会報』、Vol.07。

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JICA草の根プロジェクトチーム

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