現地コーディネーター 川端マリさんへのインタビュー

南足柄市での研修の際に、本プロジェクトの現地コーディネーターである川端マリさんにインタビューを行いました。
マリさんは日系パラグアイ人であり、プロジェクトのコーディネーターとしてプロジェクト開始当初から日本側と密に連絡を取り調整等行なっています。主に普段の講習およびその準備のほかに、JICAや日本への活動報告、終了式典の準備等を行なっています。2016年から現在に至るまでコーディネーターとして活動しており、2018年に研修で日本を訪れました。今回の研修はコーディネーターとして2回目の参加です。
今回のインタビューでは日本の調整チームがみることのできない普段の活動の様子や、コーディネートの苦労ややりがいなど多くのことを語っていただきました。

現地コーディネーター 川端マリさん(写真右)

筆者「マリさんが草の根の今のプロジェクトで行なっている主な仕事についてお聞きしたいです。」
マリさん「主な仕事はコーディネーターとして農村女性と一緒に授業に参加したり、インストラクターがいない時には授業の復讐をしたり、アドバンスコースの女性たちにはコスト計算の仕方や経済の授業を行ったり、他にはアドバンスコースはもう基本的に書く方(座学)が多いんですよね、そればかりだとあまりにもつまらなくならないように、廃油を使った石鹸作りをしたり、日本料理を作りを試したり、基礎コースで作っていないものをアドバンスコースで試したりしています。例えば、pan dulceとか。」

筆者「今だいたい生徒さんって何人ぐらいですか?基礎コースとアドバンスコースでそれぞれ。」
マリさん「基礎コースが26名で、アドバンスコースは15名。基礎コースには今2名の日系の方がいらっしゃってます。アドバンスコースには日系の方はいらっしゃいません。」

筆者「去年日本に来た方はアドバンスコースも終わって、もう参加はしていないんですか?」
マリさん「はい。もうすでにアドバンスコースも終わった方々は、今はインストラクターとしてプロジェクトには関わっています。例えばドライフルーツの作り方の授業をしています。」

筆者「教える側に今は回っている、ということですかね?」
マリさん「そうそう、そうです。」

筆者「マリさんのなかで、進め方が難しいなと感じる授業はありますか?いつもこの授業は大変だなと思うようなものとか。」
マリさん「やっぱり人数によりますね。例えば、基礎コースには26名いて、(コーディネーター側は)いつも1人なので、やっぱりコスト計算とかするときは、大変というよりかは、(個々人の)能力レベルが違うので、本当は一人一人に説明したいんですが、そこはやっぱり難しいですね。人数が多いので。年齢で見ると25歳以上の方が多いですね。真剣にはやってくれているのですが、ただ1人でやるとなかなかむずかしいです。大学生を頼るとしても、呼びたいんですけどみんなそれぞれアクティビティがあるので。」

筆者「じゃあ意外と参加している大学生は少ないんですか?」
マリさん「今大学生は(基礎コースは)1名なんですけど、アドバンスコースには4名いますね。」

筆者「じゃあ逆に普段やっている授業で、これをするときはみんな楽しそうだなって思うもの、マリさんもやっていて楽しいし、みんなの反応が良いのはどんな授業ですか?」
マリさん「やっぱり作るときですね。自分で実際に作ってみて、ほとんど今参加している人は初めてプロジェクトに入って調理のやり方を学んで、興奮しているらしいんですよね。ラ・コルメナにはクッキー型とかがないので、私がアスンシオンに行く時に買ってきたり、注文があればアスンシオンまで買いに行ったりします。作りたい気持ちがあるからそれをどんどん注文してくれるんですよね。自分のおうちでも結構練習しています。」

筆者「今まで活動してきたなかで、一番こうしておけば良かったなって後悔していることとかありますか?」
マリさん「そうですね。まずこのプロジェクトを始めたときは、なかなか、私に合っていないなと思ったんですよね。合ってないというか、みんな女性じゃないですか、もちろん。で、それを皆にどういう風に合わせようかなと思ったり、皆一人一人性格があるじゃないですか、向こうもすごい、いろいろな性格があるので、私がそれに合わせるのが本当にすごい大変でした。後悔はなかったです、ただみんなとどのようにしてうまく続けるかっていうのが一番不安でしたね。1年目は本当に大変でした。2年目は少しずつ女性たちの信頼が現れて、3年目はもう本当に自分の悩みや困っていることをどんどん言ってきてくれて、『あぁ、私のこと信頼してくれているんだ』と思って、それは本当に私的には嬉しかったです。自分のことを知らない人にいうのはなかなか言えないものですよね。でもやっぱり信頼があるからそこで本人もオープンにできたと思うんですよね。」

筆者「今、どういう風に人と合わせていくのかが大変だったとおっしゃっていたと思うんですが、それをどういう風にして行こう、皆と協力してプロジェクトをするなかで気をつけようと思っていることはなんですか?」
マリさん「すぐに否定しないようにするということと、向こう(参加女性たち)が困っている時にすぐに対応することですね。何が足りないとかもしも合った時に私がすぐに(対応)してあげたいとはいつも思っています。あとは、本当に参加女性たち、自分で何かしたいけれど、やり方がわからない方達には、どんどん応援していきたいです。けれどもうちょっと勉強して、NihonGakkoと関わって、もっと参加女性たちに何かしてあげたいんですよね。ビジョンを高めさせたいというか。今のこの経験で、参加女性たちも色々なことを考えていると思うんですよね。色々なアイディアも出てきていると思うんですけど、それを先生方と協力してマーケットとかに力を入れたり、自分の作ったものを広められるようにしたいと思っています。」

筆者「そもそも、どういう経緯でこのコーディネーターをすることになったんですか?」
マリさん「前のJICAのプロジェクトに私が参加していて、半年前くらいに、偶然なるみさんに会ったんですね。で、そこでなるみさん<プロジェクトスタッフの一人>から『こういう仕事しない?』って話をされました。でも全然何をするのかもちんぷんかんぷんだったので、『とりあえずアクティビティがあって、こういうことをするんだよ』くらいしか無かったんですよね、説明が。こんなに大きなプロジェクトだとは本当に想像はしていなかったです。」

筆者「じゃあ最初その頃は、藤掛先生のことも」
マリさん「知らなかったです。その話が出たのは2017年の最初の頃だったんですよね。で、前のプロジェクトが終わったのは2017年の7月で、このプロジェクトが始まったのはその次の月、8月だったんです。」
筆者「じゃあ結構スピードが、一気に進んで」
マリさん「そう、でちょうど(前のプロジェクトの)修了式だったので私も本当に上下左右全然わかんない状態で。」

筆者「1年目すごく大変だったというのを聞いて、まず皆とどういう風に合わせていくかがすごく大変だったと伺ったのですが、ほかにもなんかありましたか?例えば、こういうことが起きてこんな事件があった、みたいな。」
マリさん「事件はなかったと思うんですけどね」
筆者「じゃあもうどういう風に合わせていくのかっていうのがとにかく大変で、それ以外にはそんなに大変なことは」
マリさん「なかったですね。」

筆者「プロジェクトを進めていく側のスタッフって基本的に皆日本にいるじゃないですか、で、現地にコーディネータートして活動するのはMさんだけで、それってすごく、最初の頃とかは慣れなくて大変だったりしました?」
マリさん「そうですね、あとやっぱりコミュニケーションが、日本語の不足があったりして。読めるのは読めるんですけど、答えるのがちょっと苦手ですね。で、『今スペイン語でよろしいですか』って言ったりして。」

筆者「マリさん自身が、今コーディネーターとしてプロジェクトに参加していて一番嬉しいことってなんですか?」
マリさん「参加女性たちの信頼を感じる時。あと、自分たちが学んだものを出来るだけちゃんと綺麗に出したい、という気持ちですね。」

筆者「マリさん自身が、プロジェクトで自分自身が変わったなと思うことってありますか?」
マリさん「一つは忍耐力。もっと持つようになりました。あとは、みんなの声を聞くように、自分の思ったものだけではなく、もうちょっとみんなの話を聞いた上で実行する感じですね。私は結構せっかち、やるときはやりたいって自分自身で焦っちゃうんですよね。でももうちょっとスピードを落として行かないとなと思う時もあります。」

筆者「マリさん自身がプロジェクトを通して、参加女性たちも変わったと思うんですけど、自分に自信がついたりしましたか?」
マリさん「まだ100%ではないです。」
筆者「けど、最初に比べたら」
マリさん「はい、そうですね。」

筆者「今回、日本に来た時に、コルメナの方はもうご存知だと思うんでけど、メルセデスだったり、トゥジュプクの方だったり、知らない村から来た方もいらっしゃるじゃないですか、そういった方々と一緒に日本でいろいろするのってすごく大変じゃないですか?」
マリさん「大変ですね。というか、大変とも言いたくないんですよね、ただ、正直私は、グループがあったんですよね、来る前にいろいろやらないといけないことをするために大きなグループを作ったんですよね、そこで結構やりとりをしていて、私が少し心配だったのは、コルメナの女性と他の地域の女性たちがうまくいくのかが心配でしたね。私はもうグアラニー語で、他の地域の女性たちと出来るだけグアラニー語で話そうと思っていました。やっぱり、最初からスペイン語で話すと、向こうも自分たち(参加女性たち)の世界には入れなかったと思います。受け止めてくれなかったと思います。」

筆者「やっぱり最初からグアラニー語で話すかどうかかで変わりますか?」
マリさん「変わりますね。それはもうパラグアイのコミュニケーションですね。大事です。」

筆者「コルメナに住んでいる方よりオビエドに住んでいる方の方がグアラニー語をよく話す方が多いですか?それともあまり変わらないですか?」
マリさん「コルメナに住んでいる方はグアラニー語をあまり話さないけどオビエドの方はよく話します。」
筆者「じゃあオビエドの方のほうがより話すんですね。」
マリさん「はい、そうです。」

プロジェクトが始まった当初は女性たちとどのように意気投合して活動していくのかと言った苦労や、一人ひとりに合った進め方の工夫など、多くの試行錯誤と努力が見受けられました。しかしその努力の末、女性たちとの絆や、頼られる喜びを感じるとのことでした。マリさん自身もプロジェクトに関わることで忍耐力をはじめ、人と共同して活動していくやりがいを感じでいるようでした。プロジェクトを通してエンパワーされているのは何も女性たちだけではなく、関わった人みんなが何かしら影響を受けたり、元気になったりとエンパワーされているのかもしれません。

文責:坂田有紀奈

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JICA草の根プロジェクトチーム

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